名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
「わざわざ僕の口から話さなくても、いずれ僕が監修した【神の見えざる翼】の魔導書が世に出されることになっている。それを待っていればいいじゃないか」
「うーん、それもそうなんだけど……」
ディルは三百年間現れなかった五階位魔法の習得者として、新たな魔導書の制作を王国軍から頼まれている。
だから急いで本人の口から聞かなくても、ディルの感覚が記された魔導書は遠くないうちに世に渡ることになっているのだ。
ただ……
「実際に【神の見えざる翼】を使える魔術師が目の前にいて、そのコツを聞かずにはいられないよ。ただでさえずっと使いたいって思ってた夢の魔法だし。そのコツ一つで習得できる可能性もあるんだから」
「とは言っても、僕だってこの魔法の感覚を口頭で説明できる自信がないんだ。確実に文字に起こした方が伝えやすい。それに君としても、大好きな魔導書という形の方が、より参考になっていいんじゃないかな」
「そ、それは確かに……」
三百年間、誰も習得ができなかった五階位魔法の感覚を、口頭で説明しろというのはさすがに無茶か。
それに魔導書の方が私としては参考になるというのもその通りである。
まあそういうことなら仕方ないか。
大人しくディルが監修した五階位魔法の魔導書が出るのを待つことにしよう。
今宵の晩餐は純粋に飛行魔法の使い心地とか感想を聞く場にすればいい。
それもそれで楽しみである。
「それじゃあまた今夜、晩餐の時にバルコニーで」
「うん、わかった」
ディルはそう言い残して書斎を去っていき、私は再び魔導書に目を落としたのだった。
「うーん、それもそうなんだけど……」
ディルは三百年間現れなかった五階位魔法の習得者として、新たな魔導書の制作を王国軍から頼まれている。
だから急いで本人の口から聞かなくても、ディルの感覚が記された魔導書は遠くないうちに世に渡ることになっているのだ。
ただ……
「実際に【神の見えざる翼】を使える魔術師が目の前にいて、そのコツを聞かずにはいられないよ。ただでさえずっと使いたいって思ってた夢の魔法だし。そのコツ一つで習得できる可能性もあるんだから」
「とは言っても、僕だってこの魔法の感覚を口頭で説明できる自信がないんだ。確実に文字に起こした方が伝えやすい。それに君としても、大好きな魔導書という形の方が、より参考になっていいんじゃないかな」
「そ、それは確かに……」
三百年間、誰も習得ができなかった五階位魔法の感覚を、口頭で説明しろというのはさすがに無茶か。
それに魔導書の方が私としては参考になるというのもその通りである。
まあそういうことなら仕方ないか。
大人しくディルが監修した五階位魔法の魔導書が出るのを待つことにしよう。
今宵の晩餐は純粋に飛行魔法の使い心地とか感想を聞く場にすればいい。
それもそれで楽しみである。
「それじゃあまた今夜、晩餐の時にバルコニーで」
「うん、わかった」
ディルはそう言い残して書斎を去っていき、私は再び魔導書に目を落としたのだった。