名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
微笑みながら返すと、ディルは一層頬を赤くして顔を背けてしまった。
あの常に冷静で落ち着いた雰囲気を貫いてきたディルが、私の一言一句で戸惑っている。
こんなに照れているところを見たのは初めてだ。
ちょっと可愛い。
と、そこで私は遅れて、あることに気が付いた。
「あっ、でもさ、お互いが好きってことはわかったけど、私たちってもうとっくに婚約者同士だよね。気持ちを伝え合ったけど、別に今までと何も関係は変わらないのか」
「……そうだね。僕たちは恋仲になるよりも先に、婚約というゴールにすでに辿り着いている。だから何も関係は変わらないよ。僕たちは婚約者同士であり、ライバル同士のままだ」
婚約を取り引きという形で成立させたその日も、同じことを言っていたなと思い出す。
ただそうなると、関係性が新しく進展するということはまったくないのか。
せっかく気持ちを告白したのに、それだとなんだか少し寂しい。
と、思っていたけど……
「でも、お互いの気持ちを知れたからこそ、できることだってある」
「えっ?」
その時――
右手の甲に、柔らかくて温かい感触が触れた。
気が付けば、目の前ではディルが膝をついていて、私の手を取って甲に唇を触れさせていた。
突然のことに呆然とする中、ディルは上目遣いになりながら爽やかな笑みを浮かべる。
あの常に冷静で落ち着いた雰囲気を貫いてきたディルが、私の一言一句で戸惑っている。
こんなに照れているところを見たのは初めてだ。
ちょっと可愛い。
と、そこで私は遅れて、あることに気が付いた。
「あっ、でもさ、お互いが好きってことはわかったけど、私たちってもうとっくに婚約者同士だよね。気持ちを伝え合ったけど、別に今までと何も関係は変わらないのか」
「……そうだね。僕たちは恋仲になるよりも先に、婚約というゴールにすでに辿り着いている。だから何も関係は変わらないよ。僕たちは婚約者同士であり、ライバル同士のままだ」
婚約を取り引きという形で成立させたその日も、同じことを言っていたなと思い出す。
ただそうなると、関係性が新しく進展するということはまったくないのか。
せっかく気持ちを告白したのに、それだとなんだか少し寂しい。
と、思っていたけど……
「でも、お互いの気持ちを知れたからこそ、できることだってある」
「えっ?」
その時――
右手の甲に、柔らかくて温かい感触が触れた。
気が付けば、目の前ではディルが膝をついていて、私の手を取って甲に唇を触れさせていた。
突然のことに呆然とする中、ディルは上目遣いになりながら爽やかな笑みを浮かべる。