奴だけには恋したくなかった
奴は顔はそこそこいい。

アイドル顔負けの綺麗系男子だ。

しかも、営業成績がやたらいいという、いかにもモテそうな男だ。

だけどさ。

女の子は泣かせちゃいけないでしょ。


そう思いながら、給湯室から足を一歩出した時だ。

「相変わらずね、倖君。」

「沙雪さん。」

その名前に足を戻した。

廊下を覗くと、会社の男共が”不倫したい女性社員”に選ぶ、沙雪先輩がそこにいる。

「女を泣かせるのも、仕事の内だって事?」

「まさか。相手の女性が勝手に勘違いしているだけですよ。」


はあ?

あの様子だと、完全にあの泣いてた女の子、喰ってたよね?

それで勘違い⁉

やっぱり奴は、最悪な男だわ。


「どう?今夜、私とでも。」

「沙雪さんなら、いつでも。」

何々?二人はそういう関係なの?
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