恋愛小説

すんでのところで、急ブレーキをかけて止まったから奇跡的に怪我はない。

「君たち、大丈夫!?」

慌てて駆け寄ってくる車内のお兄さん。

「大丈夫です、、、。ごめんなさい!」

即座に謝罪した。

「さっき。思い切り突き飛ばしてごめん、、。、、平気?異常ない?」

そう話しかけてくる声は優しかった。

「あ、、、、、えっと、どちら様ですか?」

思わず訝しげな顔を向けた。

(何なんだろ。この人、、、。)

謎の男。学生服でもなく、完全に私服。そしてイケメン。

そしてちょっと。

(あ。目、赤い、、、。)

寝不足気味でクマが出来ていた。

「あ。いや、ごめんね。大丈夫?その腕に抱えている子は、君の子猫?」

金髪をくしゃくしゃにしながら、しゃがんで目線の高さを合わせる彼。

「うん。さっき拾った、、、いや、拾いました。」

「雨止まないね。俺でよければ、家まで送るよ?心配だし。傘、持ってないけど。」

流石に鼓動が早くなる。

私は何故か親友、琴乃由美の顔が浮かんだ。

(由美の好きなタイプだ、、。)

きっと、そうなんだろう。

「にゃぁ~ん。」

拾った猫ーーーすずが寂しそうに鳴いたから、その日は二人で帰ることにした。
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