首なしアリスは■■のもの
死にたくないなら、ハートの女王を処刑しなければならない。
……本当に、ハートの女王は私たちの中にいるのだろうか。
恭君はきっと、スペードのトランプ兵で確定だろう。
咲真は自分はチェシャ猫だと教えてくれた。
心と水無君はわからないけど――二人のことを疑うなんて、とてもできない。
心は私の親友で――少しわがままなときもあるけれど、本当は優しくて、私のことを大好きだと言ってくれる。
水無君は心の彼氏で、咲真と仲がよくて、私にとても親切にしてくれる。
それに私が思う限りでは、処刑が宣告されたとき、誰もハートの女王であるような素振りは見せなかった。
桃矢君のとき、みんな食堂にいたはずだ。
波多君のときも、みんな庭園に集まっていた。
本当はハートの女王なんていなくて、犯人に踊らされているだけなのではないか。
そんな仮説が頭の中を占める割合を増していく。
……だとしたら、もう、疑ってはいけない。