首なしアリスは■■のもの
「気にしないで。ありすは――……ありすは、心の親友だからね」
そう言って微笑む彼に、いつもと同じ優しさを感じる。
先ほどの冷たい表情に感じた不安は、あっという間に溶けて消えた。
でも……安心している場合ではなかった。
ちらりと恭君へ送った視線は、水無君に遮られる。
「恭は……仕方なかったよ」
水無君の言う通りに――そう、思うしかなかった。
やらなければ、やられていた。
本当は、仕方ないなんて言葉で片付けたくなんてない。
けれど、罪の意識で潰れている暇はないんだ。
小さく頷いて、その場を後にした。
何だか心細くなってしまったし、今日も咲真と一緒に寝よう――それを、私の部屋の前まで送ってくれた水無君に伝えた。
「でも、咲真、いないみたいだよ?」
「え?」
どこへ行ったのだろう。
咲真の部屋をノックするが、確かに反応はない。
「僕もさっき咲真と話したくてノックしたけど、返事がなくて」
ドアノブを回したけれど、ドアには鍵がかかっているようで開かなかった。
……私と同じように、逃げ道を探しにでも行ったのだろうか。
探しに行ったほうがいいかもしれない。