首なしアリスは■■のもの
「ありす、今から探すのは……もう、夜の十時になるし」
さっき、時計を見損ねたから気づかなかった。
もう、そんな時間なんて……確かに咲真を探して歩き回るのは、少しだけ気が引ける。
「ノックも気づかないくらい熟睡してるのかもしれないし……咲真に会うのは明日にしたら?」
水無君の提案に、少しだけ考えて頷いた。
心細いのは、我慢することにする。
「じゃあ、ありがとう、水無君。 おやす――」
「僕の部屋に来る?」
水無君の言葉に驚いて、返事を忘れた。
「……冗談。おやすみ、ありす」
普段見ることのない無邪気な水無君は、手を振って行ってしまった。
……今の場面、咲真や心が見たらきっと怒るだろう。
少しだけ熱い顔を手で扇ぎながら、自分の部屋に戻り、一人で眠りについた。