首なしアリスは■■のもの
まごころは、誰に
次の日になって、ひとり、咲真を探していた。
目覚めてから部屋を訪ねても、彼からの返事はやっぱりなかった。
……熟睡しているにしても、時間が経ち過ぎている。
どこか別の場所にいる可能性が高いと思えた。
食堂は閉まっていたからそれ以外の、屋敷内を見て回る。
いなくなってしまったみんなの個室は、鍵が開いていた。
一応、引き出しの底を見て、みんなの『役割』を確認しておいた。
処刑のときの放送で知ったのは、桃矢君が三月うさぎ、祐奈がダイナ、波多君がイカレ帽子屋だということ。
確かに、彼らの役割はその通りだった。
波多君の言っていた、千結が眠り鼠で恭君がトランプ兵だというのもその通り。
新しく知ったのは、白羽部長は白うさぎだったということ。
……ハートの女王は、いない。
個室はみんな一様に同じ間取りで、特に変わったものは見つけられなかった。
屋敷内にこれ以上何かあるとは思えない。
外を探すしかないかもしれない。
屋敷の扉に手をかけたときだった。
「ありす、何するの?」
声をかけてきたのは、心だった。
つい、昨日の様子を思い出して、何となく気まずい気持ちになる。