首なしアリスは■■のもの



「咲真を探してるんだ……昨日から会えなくて」

「ふーん……喧嘩でもした?」

「ううん、違うけど、部屋にいないみたい」

「そっか、一緒に探してあげるよ」


 そう言って着いてきてくれる心は、いつもと同じように微笑んだ。

 昨日の、恭君に向かって怒っていたのが嘘みたいに思える。

 きっと、疲れていて余裕がなかったんだろう。

 扉を開ければ、今日も晴天。

 眩しい陽光につい目を細めながらも庭園を見渡すが、咲真の姿は見当たらない。


「外にはいないのかな……」


 ふと目についた処刑台はやはり綺麗に片付いている。

 ただし、白羽部長と千結の遺体、恭君が染めた薔薇の花はそのままだ。

 つい視線を留めてしまうと、心も私に続いた。


「……なんで、こうなっちゃったのかな」


 心はただ前を向いていて、でもどこか遠くを見つめているように思える。

 私が何も言えず黙っていると、心が続けて口を開いた。


「千結のこと、可哀想だと思う?」


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