首なしアリスは■■のもの
心は少しだけ楽しそうな表情で――いや、違う。
浮かべているのは自嘲、そう思った。
口の端を歪めているのは、自暴自棄の証に見える。
そんな心の質問に、答えることができなかった。
しばし続いた沈黙を破ったのは、心だった。
「――ありすのせいじゃないかなぁ?」
……どうして。
心の言っていることやその意図が、先ほどからちっとも理解できない。
「昨日、何してたの? 二人きりで」
黙る私の顔を、心が覗き込む。
その表情から、明るく優しい彼女の面影は消え失せていた。
ーー心は勘違いしているんだ。
やましいことなんて一つもない。
……昨日、部屋に帰る前の「僕の部屋に来る?」という台詞は少し引っかかるが、あれだって水無君にからかわれただけだ。
「何もしてないよ! 昨日は私が恭君に襲われて、そしたら水無君が助けてくれたんだよ……!」