首なしアリスは■■のもの
「心……やめて」
冷汗が額を伝う。
心の震える指先は、今にも引き金を引こうとしている。
「黙ってって言ってるでしょ!? ありすも、私の言うこと聞いてくれないんだね?」
唾を飲み込むことさえ、ひどく難しく感じた。
「――どうして、って顔してるね。これ、水無からの最後のプレゼントなんだ。お別れの餞別だって。そんなものまで渡してきて、本当、笑える。せっかくだから、まずは原因のありすに使いたいなぁ」
「心……お願い、そんなことしないで」
きっと心に、私の声なんて届かない。
それでも、本心を告げた。
半分は自分のため――私は死にたくないから。
半分は心のため――人殺しになんてならないでほしいから。
心はそれを、鼻で笑う。
「――言うこと聞いてくれないなら、もう、いらない。ばいばい、ありす」
――ああ、もうダメ。
心が指先を引くのを見て、目を瞑った。