首なしアリスは■■のもの
私の声は届いただろうか。
顔を上げると、今まさに、心の命が奪われる寸前。
そんなときに視界の端に何かがちらつき、思わずそちらを見る。
それは、弾丸だった。
水無君が開いた手から、数発の弾丸が零れ落ちていた。
「僕もごめんね、心」
私がその光景の意味を理解する前にギロチンの刃が落ちて、水無君が言葉を続ける。
「――残念でした」
ゾクリ、と悪寒が走るようなその声が零れると同時に、心の首は宙を舞った。
「それ……」
「心に拳銃を渡す前に弾は抜いておいたんだ、危ないからね」
水無君は平然とした口調で言った。
どうして、そんな態度でいられるのだろう。
遺体となってしまった心を見つめながら、平静を保っている彼が信じられない。
「ん? どうしたの、そんなに見つめて」
「どうしたの、って……心が、死んだんだよ?」
「――うん、わかるよ」
水無君はなおもあっけらかんとした様子で、それがどうしたと言わんばかりの言葉を返してきた。