首なしアリスは■■のもの
「なんでそんなに……普通にしていられるの……?」
「……普通、じゃないよ。僕だって思うところはある。そんなこと気にするなんてありすは優しいね」
ふと目を伏せた水無君に、少しだけ安堵した。
……表に出ないだけなのかもしれない。
平然としているのは見てくれだけなのかもしれない。
そうだとしたら、これ以上彼を疑うわけにはいかなかった。
しかし、地面に転がっている弾丸を視界に捉えて――また、疑問が浮かび上がる。
さっきの態度は何だったのだろう。
死ぬ寸前の心に向けた、あの不敵な笑みの理由は。
「まだ何かある? そんなに難しい顔しないでよ」
……柔和な笑みを浮かべる彼に訪ねる勇気は出ず、首を横に振って返事をした。
「そっか。……じゃあ僕は少し、部屋で休むよ。あ、よかったらそれ、あげる」
そう言って、水無君は屋敷のほうへ戻って行ってしまった。
――地面に転がる拳銃と弾丸。
心には渡さなかった弾丸ごと、彼は私にくれると言い残した。
その理由はわからないけれど……心のことを思うと、どうしても受け取る気にはならなかった。
拳銃と弾丸を手に取る。
……心の元へ、向かう。