首なしアリスは■■のもの
「あ、ご、ごめん! なに?」
「……咲真のこと、心配?」
「心配だよ!」
思わず語気を荒げてしまった。
水無君は目を丸くして、けれどすぐに細めて微笑んだ。
「きっと見つかるよ。それに、僕がいるから大丈夫」
ぽん、と軽く頭を撫でられた。
こんなときにまで私を気遣ってくれる水無君は、やっぱりすごく優しいんだと思う。
ほんの少しだけ不安が晴れて、ほんの少しだけ軽くなった足取りで一階に向かう。
そして、ホールに着いたとき、ザザッというノイズが聞こえた。
……これは放送の前兆。
もしかしてまた、ハートの女王が誰かの処刑を望んだのだろうか。
思わず目を瞑り、身構える。
水無君が私の肩に手を置いた。
――しかし、聞こえてきた放送はいつもと違っていて、よく知っている声だった。
『ありす、水無! 聞こえる? 聞こえたら手を挙げてくれ!』