首なしアリスは■■のもの
「水無、でも……!」
「水無の言うとおり、僕に任せてくれ」
心が否定したが、白羽部長の中で決心はついているようだった。
「……白羽部長、一度決めたら曲げないですもんね」
「よくわかってるな」
水無君に、白羽部長は笑いかける。
確かに、白羽部長はいつも一度決めたらやり通す人だ。
アリス部だって、否定的だった先生に白羽部長が頼み込んで設立したのだった。
それを思えば、私たちがいくら言っても無駄だとわかった。
白羽部長はもう決めている。
だったら私たちは、それを支えるか、見守るかしかできないだろう。
咲真と心も考えたことは同じみたいで、それ以上白羽部長を引き留めようとはしなかった。
「じゃあ、いけそうだと思ったらロープを三回引くから、みんなを呼んで辿って来てくれ。もしロープが足りなそうなら、逆に三回引いてくれれば戻って来るよ」
ロープはかなり長い。
どれだけ先に行けば生け垣を抜けられるかわからないが、足りなくなることはないと思う。
「わかりました、気をつけてくださいね」
白羽部長は念のためにとロープを腰に括り付けた。
「じゃあ、行ってくるよ」
「気をつけてください!」
白羽部長は、私たちの心配の声を背に受け、生け垣をかき分けて向こう側へと消えて行ってしまった。