首なしアリスは■■のもの
咲真がロープをたわませないように持ち上げている。
「大丈夫かな……」
心配そうな声を漏らす心を、水無君は背中をさすって励ましている。
ロープが半分ほど生け垣に飲み込まれた頃だった。
「何してるんだ?」
屋敷内を見終えたのであろう波多君、恭君、桃矢君が傍に寄ってきた。
「白羽部長が、生け垣を抜けられないかって」
「えっ、大丈夫なのか?」
恭君が顔をしかめる。
そんな反応をするのが当たり前だと思う。
「まあ普通に考えて傷だらけになるよね……白羽部長、また無理してるのかぁ。で、そのロープは何なの?」
それでも桃矢君は、やっぱりあっさりとした反応だった。
「あ、これは白羽部長の部屋にあったらしい。俺らのとこは特に何もなかったんだけど、みんなは?」
「変なものはないよ。カードならあったけど、それはみんなもあったんでしょ?」
桃矢君が言って、みんな頷く。
「あ、えっと、僕もカード以外何もなかったな」
「俺も」
恭君に波多君が続く。
白羽部長の部屋にだけロープがあったのは、犯人の置き忘れだろうか――そんなふうに思いを巡らせたときだった。
「うわああぁっ!」