首なしアリスは■■のもの
「嫌だ……嫌だよ……」
しゃがみ込む心の震える背中を、水無君と共に撫でた。
きっと私も心と同じ気持ちで、勝手に瞳に涙が滲んでくる。
「……見たくない奴は、見なくていい」
波多君は、険しい眼差しを生け垣に向けながらぼそりと言った。
「お、俺、パス……部屋、戻ってるわ……」
「僕も、耐えられないかも……ごめん、みんな」
そう言って、桃矢君と恭君は屋敷に戻って行ってしまった。
――私は、戻らなかった。
たとえ何があっても、私は見届けるべきだと思った。
それは、白羽部長を頼った私の義務なのだから。
「心……どうする?」
「……大丈夫」
水無君の問いかけに、心は俯いたまま答えた。
心も、私と同じことを思ったのかもしれない。
涙の向こうの瞳には、どこか芯の強さがうかがえる。
「咲真、引くぞ」
「ああ……」
咲真と波多君の手によって、ゆっくりとロープが引き戻される。
始めからこうであったかのように、ロープは継ぎ目なく赤く染まっている。
がさがさという音が近づいてきて、ロープの先の手応えの正体があらわになろうとしている。
「う、これ……って……」
咲真が手を止めた。