首なしアリスは■■のもの
しっかりと糊付けされた封筒をペリペリと慎重に剥がすと、これまたシンプルな白い便箋が顔を覗かせる。
そして、目に飛び込んできた短い一言。
期待通りだけど、少し違ったその言葉。
『ありす、愛してるよ』
やっぱり、差出人は書いていない。
人生で初めてもらったラブレターに、喜びや嬉しさではなく不気味さを感じることになるとは思わなかった。
本来なら他人に好意を持たれるのは嬉しいことだけど、その正体が明かされないと気味が悪いのだと、このとき初めて理解した。
……でも、だからといって、どうしよう。
誰かに相談するにしても大げさな気がするし、手紙を捨てるのも気が引ける。
とりあえずその日は、手紙を自分の机にしまい込んでいつも通りの時間を過ごしたのだった。
そして数日、いつもと変わらない日々を送ったが――再び、同じ手紙がポストに入っていた。