首なしアリスは■■のもの
ひとつめ転がった
白羽部長の半分だけの遺体に、咲真は自分の部屋の天蓋の布を持ってきて掛けた。
みんなで、手を合わせる。
……この場に千結がいなくてよかったと思う。
ずっと好きだった相手のこんな姿に、耐えられる人なんていないだろう。
きっと、とても悲しむ。
それだけでは済まないかもしれない。
それを思うと、白羽部長が亡くなったという事実を伝えるだけでも心配だった。
「なんで、こんなことになったんだよ……」
波多君の言葉は、自分を責めているように聞こえた。
……誰も、口を開けなかった。
誰も悪くないし、仕方がない、止めようのなかった出来事かもしれない。
それでも、白羽部長の突然の死に納得なんてできるはずがなかった。
「みんな、どうしたの?」
静寂を破ったのは、祐奈の声だった。
屋敷から、祐奈と千結が出てきたみたいだ。
「……それ、何……?」
祐奈が顔をしかめながら、白羽部長の遺体に被さる布を指差す。
所々に血が染みているこれを見れば、誰もが疑問に思うことだろう。
「……二人とも、落ち着いて聞いてほしい」