首なしアリスは■■のもの
咲真は、起こったことを正直に二人に話した。
……遺体が、半分だけということは言わなかったけれど。
「嫌、嫌……」
咲真の話を呆然と聞いていた千結は、うわごとのように呟き始めた。
「千結、落ち着いて……!」
祐奈がなだめようとするが、千結には聞こえていないようで、目を見開いたまま頭を抱え込んでいる。
「嘘でしょ、嘘ですよね、白羽部長……?」
千結はフラフラとおぼつかない足取りで、白羽部長の傍に寄ってしゃがみ込んだ。
……嘘だったら、どんなによかっただろう。
これが夢で、覚めてしまえばいいのに。
どんなに願っても叶わないことは、どうしようもないほど理解していた。
きっとみんなも、千結も頭の奥では、わかっているのだと思う。
「千結……」
白羽部長に縋りつく千結に、かける言葉が見つからなかった。
「嘘、嘘、嘘……」
千結はすすり泣きながら、ずっと同じ言葉を繰り返している。
――そしてそれから起きたのは、予想していない出来事だった。