首なしアリスは■■のもの
「嘘ですよね!?」
千結が声を張り上げたかと思うと、布をめくってしまったのだ。
止める暇もなく、白羽部長の遺体はあらわになってしまう。
千結は時が止まったかのように呼吸を止め、そして。
「嫌ああああぁっ!」
――絶叫した。
「千結!」
祐奈が駆け寄って、千結に手を伸ばす。
すると千結は、プツリと糸が切れたように、祐奈の腕の中に倒れこんだ。
「大丈夫!?」
私と心も傍に寄ったが、千結は完全に意識を失っているようだった。
咲真と波多君が、白羽部長の遺体に布を掛け直す。
「……千結ちゃんは、見るべきじゃなかったね」
水無君が言った。
もっと、気をつけておけばよかった。
そうすれば千結は、こんなショックを受けずに済んだのに。
……後悔ばかりが浮かんでは、今更どうすることもできずに諦める。
そんな繰り返しに、嫌気がさす。
――白羽部長が見つけてくれようとした逃げ道は、閉ざされてしまった。
私たちは、ここから逃げられないのだろうか。
みんなが表情に翳りを落とす。