首なしアリスは■■のもの
そう言って食事を続ける波多君を見て、みんなは顔を見合わせた。
……彼の言うとおりだ。
気は乗らないが、私も食事をとることにした。
それを皮切りに、みんなが次々に料理に手を伸ばす。
きっとおいしいのであろう料理に味は感じない。
咀嚼することさえも少し苦痛に感じるが、生きるためなのだからと自分に言い聞かせた。
大皿の料理が少しずつ減っているのを眺めていると突然、ドアが勢いよく開いた。
何事かと驚いたが、そこには桃矢君が立っていた。
「何だよみんな、呑気に飯なんか食って……今の状況わかってんのか?」
桃矢君は信じられないといったような目線をこちらに送ってくる。
「これは、理由があって……」
「ここから出られないんだぞ!? 白羽部長も死んで、どうするって言うんだよ? ハートの女王とやらに首を落とされるのをこうして呑気に待つか? それとも、ハートの女王を見つけて処刑するか? そうだ、それしかないよな、ハートの女王を処刑しないと……!」
桃矢君は聞く耳を持たずまくしたてた。