首なしアリスは■■のもの
「あの時ありすはまだ、目覚めてなかったから……放送の最初に言ってたんだよ。『ハートの女王は、あなた達の中に潜んでいます』って……そんなの、信じてはなかったけど」
咲真のその言葉に、耳を疑った。
本当に犯人がそんなことを言っていたなんて……。
しかしそんなの、信じる理由はない。
ハートの女王は私たちを処刑しようとしている――つまり殺したがっている。
ここにいるみんな、仲間だと思っていたのに……そんな思いを抱えている人がいるなんて、信じられない。
けれど、そんなの嘘だと言い切るには、明確な理由がなかった。
理由がなければきっと、桃矢君は納得なんてしてくれない。
「……ほら、何も言えないだろ? 大体ありす、お前が一番怪しいんだよ!」
「――私が?」
どうして……私はもちろんみんなを殺したいなんて考えたことすらない。
それどころかもっと仲良くなりたい、大切な仲間だと思っているのに、何が怪しいというのだろう。