首なしアリスは■■のもの
呆然とギロチン台を見つめてしゃがみこんでいるのは、千結と祐奈。
険しい顔で話し込んでいるのは、恭君と桃矢君。
波多君が「どうなってんだよ!」と怒号を飛ばし、白羽部長がそれをなだめている。
「ありす、大丈夫だった?」
不意に声をかけられそちらへ振り向くと、水無君が立っていた。
彼の腕には、彼の恋人であり私の親友である心がしがみついている。
「うん、私は大丈夫だよ」
「よかったぁ! ありす、なかなか起きないから心配してたんだよ」
そう言いながら心が私に抱きついてきた。
栗色のゆるいパーマの髪が揺れて、甘い匂いが漂う。
「何ともないならよかった」
水無君はほっと頬を緩めて呟いた。
中性的で端正な顔立ち。
その王子様のような微笑みは、いつも学校中の女子の視線をさらっている。
「私のことよりさ……これ、何が起こってるのかな?」
私が口を開くと、二人とも表情に影を落としてしまった。
「二人も同じだろ? わからないよな、何も」
咲真が言うと、水無君と心は頷いた。