首なしアリスは■■のもの
このままでは、連れていかれてしまう――そう、思ったけれど。
次の瞬間には、私の体は床に転がされていた。
「お、おい、やめろよ! なんで俺がっ、嘘だろ!?」
痛みをこらえて起き上がると、桃矢君は仮面の数人に取り押さえられていた。
「桃矢君っ……」
「桃矢っ!」
みんなは仮面の人物に向かっていくが、簡単に振りほどかれてしまう。
それは、喧嘩が強いと噂の波多君まで。
体格が違い過ぎる……それに、相手は銃を持っている。
とうとう、桃矢君が食堂から引きずり出されてしまった。
仮面の何人かが、こちらに銃を構えた。
そうされると、追うに追えなくなってしまう。
みんなが立ち尽くしていると、仮面たちはこちらを向いたまま後退していき、食堂のドアは閉じられてしまった。
「嘘だろ……?」
「ねえ、追わないと……」
「でもあんなの、追ったところで!」
……みんな、呆然としている。
まさか本当にこんなことが起こるなんて。
どうすればいいだろう――何とか考えようと、思考を巡らせたとき。
『準備が整いました。庭園にお集まりください』
そんな放送が響いた。