首なしアリスは■■のもの
咲真は、ちゃんと前に進もうとしている。
ーー怖がっていても、何も変わらない。
白羽部長は逃げ道を探そうとした。
桃矢君も冷静ではなかったけれど、ここから逃げようとしていた。
……私も、みんなについて行かなきゃ。
「わ、私も行く! ちょっと待ってて」
「ありすは無理しなくても――」
「お願い!」
「……わかったよ」
仕方ないなぁ、とため息混じりに言う咲真を廊下に待たせ、急いで簡単に身支度を整えて、パンを口に押し込んだ。
……庭園に行くのは、怖い。
でも、頑張らないといけない。
こんなときだからこそ、頑張らないと。
「よしっ」
鏡の前で、自分の疲れた顔に喝を入れる。
――私も、みんなも、ここから逃げ出すんだ。
……どうか、これ以上、一人でも欠けませんように。
意を決して屋敷から出ると、そこには信じられない光景が広がっていた。