首なしアリスは■■のもの
「俺は全員平等に疑ってる。ま、桃矢のときを思うと、ありすや咲真が怪しいのは確かだな」
「わ、私は、誰も疑いたくないけど……けど……」
波多君と千結が順に言った。
もう、疑い合うことは止められないのだろうか。
ここに来ていない水無君や心も、みんなを疑って部屋に閉じこもっているのかもしれない。
そんなの、悲しい。
どうにかして、みんなで疑うのをやめて力を合わせたい。
「――そうだ、みんなは、何の役割なの? 私はアリスだったよ!」
気づけば、そう口に出してしまっていた。
咲真に小突かれて、我に返る。
……私がアリスで咲真がチェシャ猫、それは二人だけの秘密だと言われていたのだった。
「……あのなぁ」
波多君がため息をつく。
千結や祐奈は、顔を逸らして俯いている。
「そんなの証明しようがないんだから、言っても意味ないだろ? それに自分の役割バラして、後々不利になるかもしれないとか思わないのか?」
……波多君の言う通りだった。