首なしアリスは■■のもの
「波多君、それは――」
「何だよありす、お前もグルか?」
鋭い眼光を向けられて、私は思わず黙り込んでしまった。
「待ってよ! 私、ハートの女王なんかじゃない!」
「……散々時間を浪費して、散々考えて、もうわかっただろ。ハートの女王かどうかなんて、証明しようがない。でもそいつを処刑しないと、ここから出られない」
波多君の言うことは、何一つ間違っていない。
「ど、どこかに出口があるかもしれないでしょ!?」
「だから、そんな都合のいい話は、ただの夢だってわかったろ? 出口なんて存在しない! だったら怪しい奴から潰していく、それしかこんなふざけた場所から出る術はねえんだよ! 俺はこんなところで一生暮らす気なんてない、お前らはどうだ!? ここで仲良しごっこして、死ぬまでずっと閉じ込められて終わりたいのか?」
……言い返すことが、できなかった。
言い返すも何も、彼は間違っていなかった。
荒々しい物言いだけど、突きつけているのは正論だ。
「――僕も、そう思う……処刑、すべきだよ」
恭君は、まるでひとりごちているような小ささの声で言った。
「ねえ、みんな、信じてよ! 私は、私は違う! ねえ千結、千結なら信じてくれるよね!?」