首なしアリスは■■のもの
「ゆ、祐奈、私……っ」
千結は泣くばかりで、それ以上言葉を発さなかった。
……私は……私は、祐奈を――。
「ありす、咲真! 信じてよ……」
祐奈に言われても、何も言うことができなかった。
それは咲真もきっと同じで、唇を噛んで俯いている。
「……処刑だ」
波多君の、二度目の台詞。
「嫌だ、ねえ、待ってよ、ねえ!」
祐奈は波多君に腕を掴まれて、無理やり引っ張られていく。
「千結!」
「祐奈、ごめん、ごめん……っ」
祐奈と波多君が千結の傍をすり抜けて、私の横を通り過ぎようとしたとき。
「――何だよ、今さら」
「ありす……」
私はほぼ無意識に、祐奈の手を掴んでいた。
――やっぱりこんなのよくない、処刑なんてしてはいけない!
言うべき言葉は喉の奥で突っかえてしまい、どうしても声にならなかった。
「もう、無理だろ」
波多君が吐き捨てた言葉は、私の心境をすべて理解して言ったのだろうか。
頭のどこかではわかっていた。
もう、心の底では祐奈を信じてなどいないことを。