首なしアリスは■■のもの
波多君は私の手を振り払う。
祐奈の整った顔立ちは、涙でその面影すらなくしている。
「こいつを処刑する!」
波多君が祐奈を引きずりながら叫ぶと、待ってましたと言わんばかりの速さで屋敷の扉が開いた。
そこからは、見覚えのある仮面の集団。
相変わらず物騒な銃をこちらへ向けながら、祐奈のほうへ向かっていく。
「嫌だ、やめてよ! 助けて、誰か――!」
祐奈の叫びもむなしく、彼女の体は仮面に引き渡された。
「嫌……なんで……」
仮面たちに両脇を抱えられた祐奈は諦めたのか抵抗をやめ、ただ引かれるままに歩を進めている。
――ドクン。
自分の心臓が脈を打つ音が聞こえる。
本当にこれでよかったの?
死ぬのを――殺されるのを受け入れようとしている祐奈の姿に、私の思いは揺らぐことをやめてはくれない。
その間にも、祐奈はギロチン台へとその頭をセットされていた。
『もう、無理だろ』
波多君の声が、頭の中を巡る。