首なしアリスは■■のもの
「――なんて、二人とも気づいてたよね?」
微笑む千結に、私たちは肯定する。
「私、人見知りしちゃうから……みんなとあんまり話せなくて。 高校に入って一番最初に笑いかけてくれたの、白羽部長だった」
「そうだったんだね……」
どこか遠くを見つめながら、でも決して後ろなど向いていない千結の言葉に、耳を傾ける。
「もちろんみんなにも……特に、祐奈には、優しくしてもらってうれしいし、みんな大好きだよ。でも、白羽部長のことは――」
「本当に、すごく、すごーく、大好きだったんだよね。恋、してたよね、千結」
心が言うと、千結は耳まで赤く染めて、「うん」と小さく零した。
「千結が白羽部長のこと好きなの、すごく伝わってきたよ。ね、ありす」
「うん、白羽部長と話してるときの千結、いつも可愛かった」
自分が言われたら恥ずかしくなる言葉を並べてしまったけど、本当のことだ。
「……そっか……そうかな」
「うん、本当に」
心は少しだけ俯いた。
「……私、結局白羽部長にちゃんと想いを伝えられなかった。祐奈にも、いつも助けてもらってばっかりで……なのに、大事なときに信じてあげられなかった」
……こんなとき、うまく慰めの言葉が出たらいいのに。
何を話せば千結の顔から翳りが消えるかわからない。