首なしアリスは■■のもの
「本当によかった。こうやって話せて。二人ともありがとう」
「ううん、私こそ」
「私も少し前向きになれたよ……あ、そういえば、そろそろ部屋に戻らないと、十時になっちゃうかも」
心に言われて、思い出した。
『二十二時になったら、良い子はおやすみの時間』
あのカードの不気味な文面からして……時間を過ぎて出歩いているのはよくないだろう。
「じゃ、帰ろっか?」
「あ、私、あと一回だけ……あの曲、弾いてから帰るね」
そう言う千結に手を振って、私と心は音楽室から出た。
ホールの時計は二十一時半を指している。
「あれ?」
ふいに心が私の後ろのほうを指差した。
「あ、バレた」
振り向くと、そこにいたのは咲真だった。
食堂のドアにもたれかかって、腕を組んでいる。