首なしアリスは■■のもの
同じベッドで寝るなんて恥ずかしいし気が引けるけど――今は、特殊な環境のせいで頭が麻痺しているから仕方ない。
シャワー前と違ってからかう声も聞こえないし、特に躊躇うこともなく、部屋の電気を消して咲真の隣に身を潜らせた。
彼の体温で適度に熱を帯びているベッドは、元の質も相まってどんな寝床よりも気持ちがいい。
久々にすぐに眠れそうだ――と思ったけれど。
「ありす」
眠っていたはずの咲真の声が聞こえたと思ったら、次の瞬間には彼は私に覆い被さっていた。
「さ、咲真? 起き――」
起きてたの? ――言おうと思った言葉が私の口から出ることはなかった。
私の唇は、咲真によって塞がれていた。
もしかして、もしかしなくても、これが私のファーストキス。
「……ごめん」
数秒経って、唇が解放されて、思わず息を止めていた私は数秒分の空気を吸い込んだ。
……びっくりした。
でも、嫌ではなかった。
「な、なんで」
「ごめん、どうしてもしたかった」
私が訊きたいのは行為に対する理由ではない。
でも、うまく口が回らない。