首なしアリスは■■のもの

お茶はいかが




 朝、だろうか。

 相変わらずここでは時間の感覚が掴めない。

 目を覚ましたのは、けたたましく響く、ノックの音のせいだった。


「咲真、咲真! いるよね!?」


 ノックと共に響くのは、心の声。

 ぼんやりとしている頭でうるさいなぁ、なんて思っていたけれど、心の緊迫した声色のおかげで頭が冴え渡った。

 隣で目をこすりながら「何?」と呟く咲真を置いて、慌ててドアを開ける。


「どうしたの!?」

「あ、ありす!? なんで――」

「よかった、ここにいた。無事? 何ともない?」


 何故だか涙目の心、そしてその横から割って入ってきた水無君。

 二人とも共通して、大げさなくらいの安堵(あんど)を見せていた。


「何もないけど……?」


 ……昨夜のことを思えば、何もないということはないが、二人に心配されるようなことは一つも思い当たらない。

 一体、どうしたのだろう。

 心はともかく、水無君まで取り乱しているのは珍しい。

 呆気に取られていると、心の目に溜まる涙はどんどん増えていって、とうとう溢れ出して彼女の頬を伝っていく。


「な、何かあったの?」


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