2人の夢
奏「とりあえず、落ち着こうか。泣かないよ?泣くと発作出ちゃうから泣きやも?」
抱きしめて背中をポンポンする。
すると落ち着いたらしく、泣き止む蒼ちゃん。
奏「なんであの時病室から抜け出しちゃったの?走ったらだめなのわかってるよね?マスク外して苦しかったでしょ?いつもマスク外すだけでハァハァしちゃうんだから」
ゆっくり蒼ちゃんが話出す。
蒼「あの時ね、何もかも嫌になっちゃって、頑張って薬とかちゃんと言われたこと守ってるのにすぐ倒れるこの弱い身体も。で、心が苦しくて苦しくて、気付いたら身体についてる物外しちゃって病室の外に出ちゃってた。外でてからマスク外してることに気づいて息も苦しかったけど、どうしても部屋戻りたくなくて、屋上から飛んだら楽になれるかなって思って…おばあちゃんとお母さんとお父さんに会いたいなって…
屋上向かってたら、奏くんと会って、いけないことしてるってわかってるから、自分のやってることが蓮や奏くんへの裏切りだってわかってるから居た堪れなくなって、つい走って逃げちゃって…ごめんなさい…」
あぁ、そうか。この子は身体だけじゃなくて、心も限界だったんだな…身体の心配ばかりして心の方も気にかけるべきだった。
あの時蒼ちゃんを見つけてなかったらと思うと怖い…
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