夜の声
たぶん一度だけ

彼女が仕事を終えたあと

店内で待っていた

友人らしき女の子と

楽しそうにバーガーを

頬張っているのを

見たことがある


こちらに気付いて

軽く頭をさげ


さっきまでまとめていた髪は

おろされていた


ほんの少しだけ

ヘアゴムの跡が残っていて


照明がその髪を

照らす


何故こんなことを思い出すのだろう

黙々と向かいあって

昼食をとりながら

記憶の引き出しを開けてゆく
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