夜の声


彼女はおにぎりを手に


しっかりと前を向いた



『ケモ…?』


そう


抗がん剤の点滴は

毎日のように

髪の毛

を枕にプレゼントしてしまう



バンダナは

案外小さくて


後頭部全て

つつみかくすことは

できず


黒いニットキャップを

かぶっていた
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