ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした

プロローグ

冬の澄み切った夜空を切るように滑空し、俺はイルミネーションに輝く街を見下ろした。

人間たちのぎらついた欲望をそのまま映し出したような、目をそむけたくなるほどの眩しさだ。


今日はクリスマスイブ。
白い息を弾ませて、電飾を纏った並木道を浮かれ顔で歩いている人間たちを見下ろし、タワーマンションが立ち並ぶ湾岸エリアに向かった。



航空障害灯の赤いランプを点滅させてそびえるビル群はまるで、赤い目で闇夜を睨む怪物たちだ。
人間たちは何が嬉しくて、こんなに醜いものを手間暇かけて作るのか俺には理解できない。
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