ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
頭上にカラスの群れが飛んでいる。旋回するその数は一羽、二羽、と増え、あっという間に夜空を埋め尽くすほどの大軍となった。

岸辺は上空に目をやったまま、口を開いた。

「君、それを知っていて彼女を助けたんじゃないのか」

翼の息が止まった。

凛が足を滑らせて落ちた瞬間の、稲妻のような後悔、あの思念は、凛の両親が死に際に発した生への執念とよく似ていた。

あの二人を送り出した時に感じた後ろめたさを無意識に思い出し、とっさにその娘である凛を、助けてしまったのかもしれなかった。

「死の直前の両親の感情を知っていた君は、娘をこんなことで死なせるわけにはいかないと、思ったんじゃないか」

岸辺はまっすぐに翼を見つめた。
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