ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「死にたくないって叫んでいたよ。俺の羽が引きちぎられるくらい抵抗した。あの子のために、まだ死ぬわけにはいかない、僕たちはこれからあの子を幸せにしてやらなきゃいけないんだ、って」

そこまで言うと翼は息を呑んだ。両親が無念に思いながら死んでいったという事実をはっきりと知らされた凛は、これまで以上に二人の死を惜しむに違いなかった。

「ごめん、凛」

凛は崩れ落ちてうずくまった。両親の無念を想像し、胸をかきむしるようにしてのどに詰まる嗚咽にもだえた。
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