ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
自分が死神として魂の器を得たい一心で、翼は二人を死へ追いやった。

いまとなってはそれが本当に正しいことだったのか分からない。

自分が浮遊する魂のままでいればよかったのかもしれなかった。そうすればだれのことも、悲しませずに済んだはずだった。

翼は打ちひしがれた。凛に背を向け、部屋を出た。

凛は紅茶のカップの破片を拾い、そのまま翼を振り返ることはなかった。



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