ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした

死神の力

割れたカップの破片を袋にまとめて床を拭き上げると、凛はソファに横たわった。
酷い孤独感にさいなまれて衝動的にベランダに立った日のことを思い出す。

あのとき翼が自分の腕をつかまなければ、いまごろ自分は両親のもとへ行っていたはずだった。
死んでいたら、お父さんとお母さんに会えたのだろうか。

もし会えたとしたら、自分はなんて言っただろう。自殺して、死の世界に来た、と、正直に言えただろうか。自分たちが生んで育てた娘が自ら死を選んだと知ったら、間違いなく二人は悲しんだだろう。
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