ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「翼くんは、あなたとずっと一緒にいたいって言っていたのにな」

凛は答えなかった。翼が、隠し事なく曇りのない心で自分と向き合おうとしていたことは、うすうす感じてはいた。が、その隠し事は凛にとってはあまりに受け入れがたいものであったのも事実だ。

「私たちは、一緒にいてはいけないような気がします」

凛が言うと、重い空気を散らすように一度座り直し、岸辺が言った。

「凛さんにひとつ、説明しておかなければならないことがあるんだ」

凛が、顔を上げて岸辺を見た。
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