ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
人は必ずいつかは死ぬ。そして、どのように死ぬことになるのかは分からない。多くの人たちが、まだ死にたくないと思ってこの世に未練を残して去っていくのだろう。

凛の両親も、そうだった。翼はこうも言っていた。

「死にたくないって叫んでいたよ。俺の羽が引きちぎられるくらい抵抗した。あの子のために、まだ死ぬわけにはいかない、僕たちはこれからあの子を幸せにしてやらなきゃいけないんだ、って」

翼の言葉を思い返し、凛ははっと息を呑んだ。
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