ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
両親の死をきっかけに、凛は周囲に分厚い壁を作った。

同情されたり、可哀想な子、という目で見られるのを恐れて、悲しみに、自分すら気付かないように重い蓋をし、あらゆる感情を押し殺すようになった。

それが、当時の凛にとっては一番楽な生き方だったのだ。

けれどもその生き方が、次第に凛自身を苦しめることになった。
恋人には本音でぶつかることができず、いつもそばに居る親友にさえ、心を開かない。職場ではみな、凛を「クール」と決めつけている。凛は嘘の鎧で身を固め、その鎧の中で苦しみ、もがいていたのだ。
< 133 / 167 >

この作品をシェア

pagetop