ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「凛、今日は何食べたい?」

翼が尋ねると凛は瞳をくるりと回し、タイ料理を食べたいと言った。

「翼さん、どこかに食べに行こうよ」

翼はうなずいた。

「じゃあ、渋谷辺りで待ち合わせよう」

仕事終わりに電話する、と言って凛が答えると、翼は苦しそうな表情で凛を見下ろしていた。目尻が微かに赤いようにも見える。
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