ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
拓斗とは体の相性が良かっただけに、溺れた。あの行為を拓斗が夏美とともに繰り広げると思うと、嫉妬を越えて気持ち悪さが胸をつく。

気持ちはどこまでも、果てしなく落ち込んでいく。
なのに体が、疼いてしまう。

長年、色々な感情を心の内に押さえ込みつづけた結果、そのストレスが性欲として爆発する体質になってしまったらしかった。
どんなマイナスの感情も、出口を探して体内を蠢き、しまいには足の間を疼かせるのだ。

シャンパングラスをローテーブルに置くと、凛は自分の素肌に指で触れた。両足を開き、後になって空しさに襲われるのは百も承知で、酔いに任せて自分の体をまさぐり、強硬な恍惚感を求めて刺激し、夢想した。

拓斗の顔は、本来好みではなかった。
ともすると女の子のような繊細な顔は、微笑むと砂糖菓子のように一層甘くなった。
仕事はできて、キレ者と評価される拓斗が、あどけない笑みを浮かべるそのギャップで、周囲の女性社員たちからの人気は高かった。
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