ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
翼はそのカラスの群れを見るなり、みるみる顔色を変えた。それから凛をホームの端に連れて行き、両腕を掴んで顔を覗き込んだ。

「凛、離れ離れになっても、俺はお前を絶対に忘れない。だからお前は安心していい。俺が姿を消しても、俺はずっと凛を愛してるから」

「どうしたの?」

「ごめん、どうしても今言いたくなって」

死神は取り繕うように腕から手を離した。

その時だった。凛の背後に立っている黒いマントを羽織った男と、まっすぐに目が合った。
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