ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
翼は慄然として、黒いマントの男を見据えた。

何羽ものカラスたちが、羽ばたきながらホームに降り立ち、一瞬影に溶け込むと、黒いマント姿に姿を変えて立ち上がっていく。

ひとり、またひとりとその数が増え、無数の黒い影がホームを席巻し、電車を待つ人々の立つその隙間を埋めるように立ち尽くした。

「これは・・・」
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