ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
翼は異様な光景に愕然とした。同時に、温泉地の河原で岸辺が言ったことを思い出した。

───「申し訳ないけど、僕はこれから忙しい。三日後にトンネルの崩落で電車事故が起きるから大量の死神が下界に下りる準備をしていてね」

岸辺亘の言葉が耳の奥で反響し、心臓に早鐘を打たせた。

電車の進行方向には、地下鉄に繋がるトンネルがある。

この駅は地上駅だが、一駅先からは地下鉄線に乗り入れる。
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